うなて医院で配布中の説明用紙はコチラ ⇒ 手足口病

 

流行しています。奈良県内の患者報告数が警報基準を超えたので、6月21日に「警報」が発令されました。

今日は手足口病についてです。英語では「Hand, Foot, and Mouth Disease」です。分かり易いです。

口の中、手のひら、足の甲や裏などに2~3mmの水ぶくれのような発疹ができます。私が研修医時代は、手足口病の発疹の特徴として、「手のひらや足の裏にできやすい、真円形ではなく米粒型、手足のシワ(皮線)に沿って現れる、水疱の周囲は赤黒く見える」と教えてもらいました。でも実際に患者さんを診ると、発疹の形は千差万別。手のひらには無く肘に現れるパターンなど様々。もう一つ、「別名、手足口おしり病!」と教わったこともあります。これは的を得た表現だと思います。体の前面にも背中にもプツプツは無いですが、おしりにプツプツができることは度々経験します。発熱が見られることもあります。発熱の程度は様々です。高熱が出ることもあります。ほとんどは数日間のうちに治りますが、まれに髄膜炎や脳炎など、重症化することもあります。幼児を中心に夏季に流行が見られる疾患ですが、成人での発症もあります。成人の方が手足の発疹が重症な印象があります。いわゆる「夏風邪」の一種です。原因はウイルスです。エンテロウイルス71(EV71)、コクサッキーA16(CA16)をはじめとしてコクサッキーA5、A9、A10、B1、B3などの感染により生じます。これらのウイルスが経口感染や飛沫感染、糞口感染することで感染します。

中には重症化する例もありますが、レアなケースと言えるでしょう。私が経験したレアなケースをご紹介します。

今から約10年前の2010年夏季に手足口病による脳幹脳炎の1例に出会いました。当時、兵庫県立塚口病院の小児集中治療科に所属していました。1歳6ヵ月、女児、意識障害、呼吸障害のためかかりつけ医から紹介搬送され、人工呼吸管理、脳低温療法、持続脳波モニタリングを含む集中治療を行いました。けいれん発作はおさまらず、頭部MRI検査で脳幹部に異常信号を認めました。非常に重症な症例であり、頭部画像検査で異常信号が確認された時点で、後遺症は残るだろうと覚悟しました。しかし退院後次第に症状は消失し、けいれん発作はなく、頭部MRI所見も改善し正常に発達されました。子どもの生命力の強さに驚かされた症例でした。

この症例は「手足口病による脳幹脳炎の1例 Hand, Foot, and Mouth Disease with Brainstem Encephalitis : A Case Report」として論文にまとめました。[小児科臨床 65(10), 2197-2202, 2012-10]

繰り返しますが、このような重症例はレアなケースです。手足口病だけが特別に脳炎や脳症のリスクが高いわけではありません。実は突発性発疹にも水痘にもおたふくかぜにもRSウイルスにも・・・色々なウイルス感染(風邪)にも脳炎や脳症のリスクはあります。手足口病というだけで、過剰な心配は不要と思われます。

手足口病に有効なワクチンはありません。流水、石けんによる手洗いをしっかりと行いましょう。

日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会(2018年)では、流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない、としています。本人の全身状態が安定しており、発熱がなく、口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく普段の食事がとれる場合は登校(園)可能、ただし、手洗い(特に排便後)を励行する。とのことです。

こんな感じで、うなて医院の院長なりに疾患情報をアップしていこうと思いますので、皆様の参考になれば幸いです。

よろしくお願いします。